日記に起承転結はない

 選挙の期間前投票に出かけました。家の近くだったので歩きました。スクーターでの移動が増えて、田舎は歩くとどこにいくにも時間がかかると思い知って、移動が億劫になっていました。歩くと景色の流れはとても緩やかで、車やスクーターでは安全に運転するために見落とさなければならない情報たちを拾うことができます。今日は閉店して二年以上放置されているスーパーを見に寄ったり、カーブミラーを見上げたりできました。風が弱くて静かでした。嫌になるほど蒸し暑いのは始まったばかりだし、これからは蝉たちも現れる。

 期間前だし平日だし、家から票を投げる部屋の入り口までだれもいませんでした。施設の周りも入り口も階段も静かで、部屋に入ると職員さんたちが暇そうにおしゃべりしている。すこしひんやりした部屋で、伸び始めた苗の広がる水田を見渡しながら、子供のころはもっと恐るおそる生活していたなあと思い出しました。殊更に夏の静かでひんやりとした場所の心細さなどは、幼かったころにしかない感触かもしれません。例えば公民館に入ると、急にひとがまばらになって、空気もひんやりとして、蝉の鳴き声も遠のいて、そういう急にあれこれが逆になるのは場所として独特ですね。

 一度帰ってのびていました。猫が横たわっているところは、やや涼しい。さすがです先輩。スクーターで夕ご飯の買い物に出かけたら、やっぱり気になるものがあるのに、どうして気になるのか確かめることもしないで通り過ぎていくばかりです。車だと尚更なので、スクーターは危なくなさそうな路肩に停まれるぶんいいのかなあ。知ることの前に気づくことがあるとわかって、それを丁寧にしたいです。