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三ヶ月の熱病

 梅雨はどこへ行ったんですか。雲の厚さも空気の重さも光の鮮やかさも雨の勢いもなにもかも夏になってしまいました。

 通勤途中、フォークリフトのコンテストのようなものを見かけたり、ヒマワリが咲き始めているのを見かけたり、一体梅雨はどうしたんですか。梅雨に向けて心構えをしっかりしていたのに拍子抜けです。

 梅雨も夏も苦手さに違いはありますが、梅雨は厄介で夏は手に負えない。もうアジサイだって花がしぼんでただの草になってしまいます。そのへんにあるただの草!さくらもそのへんの木だし、もみじもイチョウもそのへんの木です。季節になれば目立ち愛でられ、どうにも我々は目線がフワフワしている。寂しがりが欲する任意の恋人。あるいは酒飲みが酒を飲む理由づけ。再び来る流行、繰り返される歴史、変哲もない日々の習慣。飽きがこないように愛でるべし。我々のフワフワさは抽象的ではなく、ただ漠然として形が定まらないものであるならば、着実に積み重ねているのは学問や技術だけではないだろうか。僕だってフワフワしています。夏は特にフワフワしてしまいます。

 夏は冷静になりづらい。火照った頭では目先のことしか考えられない。ひとびとは熱病でいつもより思考がとりとめなくなるか、熱病にうなされるかのどちらかに振り分けられてしまう。

 夜の涼しさも遠ざかっていて、これからしばらく暑さにやられるか冷房にやられるかで、いまのうちに高原の別荘へ避難したいです。そんなものありませんが。