感性が幼児退行していないでもない

 とても気持ちが穏やかに一日を過ごせました。

 目覚めたときのつらさが薄く、昨晩なんとなく「鉄塔を見に行こう」と考えていたのを実行しに、電車で6駅先のところで降りて、残りは歩きです。夜中は雷雨で、今日は雨で引きこもっているかなあと思っていましたが、蒸し暑いほど晴れていました。

 駅を降りてすぐ、あたりに鉄塔が連なっているのがよく見えて、早速その方向へ歩いていくと、水田の真ん中に立っていて間を縫うように苗が植えられていたり、柵に囲われていたりして入れないところが多かったです。一箇所だけ、畑の中に突っ立っていて、農家の方に入っても良いか訪ねて承諾してもらったので潜り込みました。

 夏至らしく陽も高かったし、眩しくて汗も落ちてきて、でもとても居心地がよかったです。真上にはきれいな幾何学模様があって、整然としているものの美しさが頭上にあることが面白くてこそばゆかったです。雑然も整然も好きですが、ふつうの空に異様なまでの整然の影があるというのは、とても愉快です。

 降りた駅の隣の駅へ向けて歩いていると、古墳をみつけて気持ち悪い笑みをこぼしてしまいました。当然ですが古墳は大きくて、下から見上げても「なんか丘っぽい」としか思えないし、登っても「なんか広場っぽい」としか思えません。棺が見えるようにしてあるけど、やっぱり墓っぽく思えなくて、そのへんの丘でした。すごくいいですね、古墳。

 久しぶりにいい気分で一日が始まって、久しぶりに愉快なものたちに触れることができて幸運でした。