理想とリスク
だいぶ前のゼミでの教授と助教の会話なのですが、
「この本、すごく理想を語っているよね」
「そうですね。最近はこういう発言が少なくなりましたね」
「では今は何を語っているんだろう」
「リスクじゃないですか」
「確かにそうだ」
といった旨だったことを憶えています。
ただ、最近は理想を語る人間も増えたのではないかなあと感じます。その代表例は「好きなことをやれ」です。
理想もリスクも僕にとっては息苦しく聞こえてしまいます。どちらとも目標に向けて進むことを意味していて、どちらにも停滞や撤退が含まれない。
理想を語ることが増えたとはいえ、当然リスクを語ることも多くあって、両方が同時に働きかけてくる構図で生きていると、窒息しそうです。
たぶん「理想を語る人間とリスクを語る人間がいる」というより「理想をリスクを語る人間がいる」状況にあって、果たしてどれほどの人間が理想とリスクを矛盾させずにいられているのだろうと考えてしまいます。
両立不可能ではないと思いますが、なんでも理想にすることはできるし、なんでもリスクを見出すことができることを考えてしまうと、板挟みというより両側から引き裂かれるような印象を持ってしまいます。